寒い時期の更年期女性と高血圧とメンタル不調
冬本番の寒さのなか、男女問わず、血圧が上がる人が目立っております。
毎年この時期は、交通事故にあうよりヒートショックを経験する確率が高いほどヒートショックが多い時期なので、どうか入浴時、特にお気を付けて乗り切られてください。命を失ったり後遺症をおわれないことを祈るばかりです。
入浴はストレス解消や温活にかかせませんが、入浴が一番面倒な時期でもあります。心配な方やどうしても入浴できないなら、タオルをお湯で濡らして清拭でこの一番寒い時期を乗り切るのでも、よいかもしれません。災害時・介護用に水のいらないシャンプーなどもあります。
厚生省のHPによると、特に、女性は、男性より室内の気温低下で血圧が上がりやすいという研究もあり、Am J Hypertens. 2011のLicy L*等のレビューによると、特に更年期の女性では、NAや慢性炎症やサイトカインの影響により血圧が上がりやすいようです。中年以降の女性の皆様、ご注意ください。
エストロゲン低下の影響は、見解が一致しない点もあるようですが、動物実験レベルではそう考えられ、経皮/内服、高用量/低用量の女性ホルモンの有効性では意見が分かれますが、内皮細胞に影響を与えるようです。Ichikawa等は1-2年経皮エストロゲンが平均血圧・拡張期血圧低下と報告しています。
Sleep Med Rev. 2018のDenise C Jarrin等のレビューによると、特に高齢女性において、高血圧と不眠症との関係をのべています。血圧は、朝、夜どちらかが高い人が多いですから毎日測定してみるとよいかもしれません。仕事直後が一番高いといわれることもあります。
Maturitas. 2019のEnrica Bonanni等のレビューによると、女性の更年期障害では尿失禁や夜間頻尿、睡眠障害、甲状腺機能障害、肥満(更年期後40%が肥満*)、胃食道逆流症、慢性疼痛・線維筋痛症、がんなども伴うといいます。加齢による萎縮性甲状腺炎もありえAgingを私も痛感しております。
(ちょっと難しいので、読み飛ばしてもらって大丈夫です。
なお、閉経後女性にAT1受容体拮抗薬を投与すると内皮機能障害が改善し、 カルシウム拮抗薬では改善しなかったようです。甲状腺疾患合併の高血圧では カルシウム拮抗薬が有効ですから、両方使ってしまえばよいのかもしれませんが、治療薬選択が難しく他院内科に血圧管理は依頼しております。
それから、女性における肥満の発生率は、腎内アンジオテンシノーゲンを増加させRAS活性化に寄与し血圧上昇と関係する可能性ある遊離アンドロゲン指数増加や性ホルモン結合グロブリンの減少と関連しているようです。このように、機序には様々なものが考えられ不明な点もあります)
当院では、漢方を含めた治療薬紹介、採血での検査、内科にも紹介など行っております。
ただの高血圧ではなく、動脈硬化と重なれば、脳卒中や虚血性心疾患などに影響を与え命にかかわったり後遺症を抱えたりします。稀に高血圧患者2%くらいでは、激しい頭痛・嘔吐・全身けいれん・意識障害・周りのものがぼやけてみえる高血圧性脳症という病態もあります。
MRIなどで脳浮腫を確認できればよいのですが、病院で病状の悪い時に確認ができることのほうが少ないものです。数日以内なら、当院も紹介状発行でMRIをご紹介できることが多いです。大学病院紹介で転院しても、主治医によってはCTをオーダーされ苦慮しております。
教科書に書いてありませんが、経験上、中高年女性で、睡眠障害の自覚は数日でも精神症状が激しい方がおられ、高血圧管理でよくなる例も少なくなく、交感神経系の活性による高血圧と不安やうつとの関わりは前述のレビューでも指摘されていますが、更なる研究が必要な領域でしょう。
高血圧等、からだのストレスでうつや不安や不眠が生じるのかもしれませんが、ひょっとしたら脳症などの病態のもう少し軽いものも隠れているのではないかと疑いますが、不調時に即研究用MRIを撮れる環境にはなく、不明です。ただ、この時期の降圧剤内服は大事だと思っております。
中高年。特に肥満を伴う方の高血圧では、睡眠時無呼吸症候群の軽症~中等症の方も少なくありません。当院ではスクリーニングしかできませんが、血圧測定、OSASスクリーニング、メンタルチェック、漢方治療を行う診療所ばかりではないかもしれず、冬場は甲状腺疾患も多い時期です。
気になる方は、お問い合わせください。すでに、高血圧で治療を中断されている方は、かかりつけ内科をきちんと受診してお薬を飲んだ方が良い時期でしょう。
厚生省のHP) 18度以上の室温を東賢一先生は推奨されています。
それに加えて、感染症対策を考えると、24度+40-60%に加湿した環境にも配慮したい時期です。
特に、感染症後にアレルギーがある人では、咳が続くなど喘息傾向が生じることもあり、熟眠障害など睡眠障害の原因になりメンタル不調が生じた例もあったため、続く際には喘息専門内科を受診して治療されセルフケアを心掛けてください。
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