アニメ・映画・ドラマ・小説・漫画を外来診療に活かすには
先日、パントー・フランチェスコ先生の実践アニメ療法を読み、作品を選ぶことがとても大事だなと共感しました。
私は中高で多読賞しか取り柄がなかったため、年間、たくさんの専門書・論文を含めた読書、映画、アニメ、ドラマ、小説、漫画を楽しむことが日常です。本が好きなほうだと思っています。
今までも、EMDRのRDIで資源を探るなか、アニメや小説、映画のキャラクターや製作者へのあこがれを利用者に語っていただくことはありました。
また、発達障害を抱える方々は、女性アニメの声優さんなどにはまったり、好きなゲームの内容を楽しそうに語ってくれたりすることがあり、感想を雑談で伺うことはありました。
語れないトラウマを似たようなアニメの登場人物たちの気持ちや言動の意図を探りながら語り合うことは、メンタライゼーションを育み、ナラティブセラピーのようにトラウマを癒しそうな印象をもっていました。
では、そうした芸術すべてがメンタルの予防や治療に有用か、というと疑問符がついていました。
純文学で余韻が残るような作品をアルコール度数の高いウィスキーでも飲むかのように味わえたとしても、メンタル不調時に読めば悪化します。ホラー・サスペンスなどグロテスクで残酷な話が、うつや不安障害で不調な時にはつらいかもしれません。
メンタル不調から回復した後に読めるものは、現状で販売されている挿絵のある分厚い治療ワークブックより、もっとかみ砕いた内容のものが好ましい、とセルフワークブックの読書を支援しつつ、ずっと考えてきました。
そこで、当院では、最近、簡単なパワーポイントアートで、プログラムをゆるキャラ漫画冊子にして、院内で利用し始めております。
まだまだ完成作とは呼べませんが、幅広く、心理療法に興味のある方へのご期待に、少しでも沿えるよう、谷根千の野良猫が主人公のマンガの冊子を作ることに力を入れております。
「こころの大図鑑(感情の分化を学ぶ)」、「メンタライゼーション入門(自分や他人の考えや感情を学び問題行為を減らす)」「瞑想とマインドフルネス」「いじめられっ子に向けた、勇者と学ぶいじめっこ攻略ゲーム(ガスライティングへの対応を含む)」など試作版作成中。
厚生省の認知行動療法プログラムの漫画冊子補助、当院で使っていたプログラム「自己肯定感向上」「トラウマ治療ご案内」「コンビニで手に入れるメンタルによい食品図鑑」「アサーショントレーニング 気難しい人との付き合い方」「喪失反応への対応」なども、漫画化中。
興味のある方は、外来でお声がけください。最終的に、白黒冊子を、著作権や偉業広告規制法などに配慮して、院内で無料配布できるよう目指して作業に取り組んでおります。
うつを治療された後も、不注意が残る障害のため、学んでいたことを忘れてしまわれる方が少なくなく、難しいプログラムに取り組む集中力のある程度回復した方を対象に行ってきましたが、集中するのが難しく後日に忘れられていたりすることもございました。
再発予防や回復に役立てるよう、既存の専門的治療のすべてをここで行うことは不可能ですが、そんな医療があるという情報提供がまずできるよう、取り組んでまいります。
なお、当院はトラウマに対するEMDRなら自費診療で行う研修も修了しており、トラウマ診療が苦手ではない診療所です。
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