冬バテ?
「なんだかダルい」「朝起きるのがつらい」「甘いものが無性に食べたい」――。
こうした症状は、夏の暑さによる「夏バテ」のイメージが強いかもしれませんが、実は寒い冬にも、似たような心身の不調を訴える方が増えております。
私たちはこれを俗に「冬バテ」と呼ぶことがあります。
一方、ただの寒さや疲れと見過ごされがちなのが、冬特有の気分障害「季節性情動障害(SAD)」、別名「冬季うつ」です。あなたのその不調、単なる「冬だから」で片付けてしまっていませんか?
冬季うつ(SAD)とは?
冬季うつ(季節性情動障害:SAD)のメカニズム冬季うつは、文字通り特定の季節、主に日照時間が短くなる秋から冬にかけて発症し、春になると改善するという特徴を持つ気分障害の一種です。その主な原因は、「日照時間の減少」にあると考えられています。
セロトニンの減少: 太陽光を浴びる時間が減ると、「幸せホルモン」と呼ばれる神経伝達物質セロトニンの合成が低下します。セロトニンは、気分を安定させ、心のバランスを保つ重要な役割を担っています。
メラトニンのバランスの乱れ: セロトニンは夜になるとメラトニン(睡眠を促すホルモン)に変わります。日照不足でこのサイクルが乱れると睡眠の質の低下や過眠(寝過ぎてしまう)につながります。
冬季うつの具体的なサイン(自己チェック)
単なるうつ病とは異なり、冬季うつには特有の症状が現れます。
特徴的なサイン(一般的なうつ病との違い)
・過眠(いくら寝ても眠い、朝起きられない)
・不眠のことが多い過食(特に炭水化物や甘いものを無性に欲する)
・食欲不振のことが多い気分の落ち込み(特に午前中に強い)
・だるさ・倦怠感人との交流を避ける
これらのサインに心当たりがある方は、すぐに日常生活で以下の対策を取り入れてみましょう。
☀️ 日光を浴びる:朝起きたら11:00までにカーテンを開けて60分、窓越しでなく、できれば屋外で光を浴びましょう。光が脳にセロトニン生成を促します。
🏃♂️ 軽い運動:散歩やウォーキングなど、リズム運動はセロトニンを増やし、気分転換にもつながります。日中に日光を浴びながら行うのがベストです。
🍲 栄養バランス:甘いものへの欲求が高まりますが、過度な糖質摂取は一時的に気分が上がっても、その後の急降下を招きます。セロトニンの材料となるトリプトファンを含む、肉・魚・大豆製品・乳製品などを積極的に摂りましょう。
冬の不調は「気のせい」や「怠け」ではありません。人間の心と体は、環境の変化に敏感に反応しています。上記の対策を講じても症状が改善しない場合や、日常生活に支障をきたし始めた場合は、専門機関への相談が大切です。
冬季うつは、光療法(高照度光療法)など専門的なアプローチで改善が期待できるケースも多くあり当院でも自由診療ではありますが、行っております。保険診療では、この時期に生理的に低下しやすいこれらの症状と関わる甲状腺ホルモンを採血で調べることもでき、治療はホルモン補充です。
当クリニックでは、冬特有のメンタルヘルスに関するご相談を随時受け付けております。どうか一人で抱え込まず、一週間に1ー2回眠れない程度のうち、重症化しておられないようなら小規模診療所の当院でも対応可能な場合が多いため、お気軽にご連絡ください。
こころとからだ相談クリニック
文京区千駄木2-3-18-101
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