ようやくスギ花粉症の時期が終わりほっとしましたが、ヒノキ花粉症のある方が、軽いからとアレルギー剤をやめて、熟眠障害と精神症状の悪化を疑う方が増える季節に差し掛かってきました。
まず、スギよりヒノキの方が粒子が小さいです。そのため、目や鼻の症状が辛いだけでなく、喘息や咳喘息など気道過敏性亢進のある人たちにとって、軽い気管支炎により息苦しくなり、肩が凝り、睡眠が浅くなれば、だるさを感じやすい時期かもしれません。
ヒノキ花粉症による不調かな、と疑ったら、アレルギー剤再開やステロイドの吸入・点鼻・点眼薬・軟膏で乗り切られてください。市販薬で対応できるなら、それが早いかもしれませんが、市販薬で手に入らない薬剤もあるため、内科か当院でご相談ください。
また、湿度の高さで過呼吸気味になる気候とあいまり、不安障害やパニック障害のある方には、さらに暮らし難く発作が出やすい時期となるのかもしれません。不安止めで対処してもうまくいかない時には、持病のアレルギーによる悪化も疑い治療してみてもよいでしょう。
さらに、天候が悪いと気圧の変化が生じやすくなるなる時期かもしれず、アレルギー症状や微小炎症の悪化する時期かもしれません。頭痛やむくみ、吐き気・下痢、だるさ、関節炎など気象病の症状がある方にも、気象病に効果があるという漢方薬を試せます。
エビデンスとして弱いかもしれませんが、花粉症と睡眠障害、アレルギー性の皮膚炎と睡眠障害などの研究もあり、外来でみていると熟眠障害に関わっている印象を受けております。自分自身がスギ花粉症で、そんな実感がありセルフケアをしているため信仰しております。
誤っていたら残念ですが、この時期にメンタル不調でお辛い方は、まずアレルギー剤をやめているなら早く再開し、それでも不調なら、ご相談ください。熟眠障害が長期化すると強い眠剤しか効かなくなるため、早めにご対応ください。
スギ花粉の時期が終わるGW明けから「私も一緒にやめたい」とつられてしまうヒノキ花粉症の方々が続き、その気持ちを理解しております。私も辞めたら酷いことになりました。同様に、アレルギー剤をやめると熟眠障害でメンタル不調が出てくる人も続いております。
毎年のこの時期の不調をセルフケアをしながら、うまく乗り切れるようになり、暮らしやすくなったり、働きやすくなったりされるよう祈っております。
*自立支援医療を導入されている方では、別日処方とさせていただくか内科受診をお願いするかもしれませんが、導入されていない方では6剤以内なら同日処方いたします。
*気管支症状にも効果あるデザレックスなどは食事の影響を受けませんが、ビラノアが無効という方は、ビラノアが食事の影響を受けるので、夜食を食べ2時間以内に内服して効果が薄いようなら、内服時間を早めるなど空腹時内服にも、ご注意ください。
<参考文献>
・Nihon Jibiinkoka Gakkai Kaiho
. 2017 Jan;120(1):36-43.
[Questionnaire about Snoring and Daytime Sleepiness Due to Springtime Hay Fever]
[Article in Japanese]
Shota Tanaka, Masanori Miyata, Goro Takahashi, Tomokazu Matsuoka, Yumi Kuroda, Keisuke Masuyama
・https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6169311/
Dermatitis
. 2018 Sep-Oct;29(5):270-277. doi: 10.1097/DER.0000000000000401.
Sleep Disturbance and Sleep-Related Impairment in Adults With Atopic Dermatitis: A Cross-sectional Study
Jennifer C Li 1, Anna Fishbein, Vivek Singam 1, Kevin R Patel 1, Phyllis C Zee, Hrayr Attarian, David Cella 2, Jonathan I Silverberg
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