医師により診断が違う理由。

精神疾患では、医師により診断や治療が違うとよく苦情を受けます。

からだをみる時も同じことはあり、その理由も似ている、と私は考えております。

今回の私の高熱を振り返ると、似ている、と思う点がありました。



私は高熱を出し、内科を受診後、耳鼻科を受診しましたが、両者の診断と治療は違いました。

耳鼻科では、咽頭炎と考えられました。こちらでは、抗生剤と解熱剤を処方されました。

その前に受診した内科では、扁桃腺炎とインフルエンザを疑われ検査されました。扁桃腺炎と感冒の漢方と解熱剤を処方されました。

内科だけですめば助かりましたが、黄色い痰の量が異様に多く続くので、かかりつけ医の耳鼻科も念のため受診しました。

ファイバーでは鼻腔を中心に膿があり、扁桃腺は腫れておらず、咽頭後壁に透明な水疱が多数みつかりました。



なぜ医師により診断が違うのでしょうか。

様々な理由があり間違えている可能性もありますが、私は今回こう考えました。

ひょっとすると副鼻腔炎も伴っていて、インフルエンザを疑われた頭痛は鼻から生じたのかもしれません。

初めは声も出にくく炎症が広がっていたようです。扁桃も腫れたかもしれず、内科医は口を診察し扁桃腺炎を疑った、と考えました。

複数の病を併発したのかもしれません。時間経過で病自体も形を変えます。発熱や頭痛の背景に様々な疾患が隠れているものです。

こうした診断の違いの理由は様々で、これだけではないでしょう。短時間の外来初診で、判断しきれない部分もあるのでしょう。



からだを診る医師にとっての「発熱」と、こころを診る医師にとっての「うつ」は似ているのではないか、と私は考えています。

適応障害、うつ病、双極性感情障害、統合失調症、月経前不快気分障害、器質性感情障害など様々な不調にうつを伴います。

うつ状態の患者を診た医師が精神障害を疑っても、脳腫瘍や伝染性単核症と検査で分かった場合、診断や経過は変わりうるのです。

身体の治療で心も治ることがあるからです。一方、身体の病が治っても、後遺症なのか合併していたのか、心の病が残る人もいます。

躁病(双極性感情障害)の経過を眺めると、気分の波というアップダウンが生じるものです。

躁でハイな患者を医師が診れば躁病を疑います。その後、うつになった患者に別医師が躁の問診をし否定されれば、うつを疑います。

うつと躁を繰り返す方の診断には、本人に病識がないという症状があるため自覚していないことも少なくなく、難しさが残ります。



初診で、確定診断して当然だと誤解されている診断書を求める患者さんとたまに遭遇します。短時間の外来で判断できるでしょうか?

採血結果を見ない状況での確定診断は難しく、状況に応じた暫定診断しかできません。

つまり、診断は変わりうる場合もあります。



「初診で正確に診断がつかない」「受診した医療機関に設備差がある」ことを知ることも大事だと、患者の立場で理解できました。

そこに気付かず誤った期待をしてしまうと、期待を裏切られ傷つき、不安や怒りを覚え、医師を信頼できない方もいるのでしょう。

医師により診断が違う理由を理解でき、設備や専門科を選び、賢く医療を利用できるようになれば、と私も願う部分があります。

信頼すべきでない人や病院もあります。実は無資格だった事件、無資格の病院理事長が外科医に命令していた手術もありました。

お金はかかり失礼かもしれませんが、3つ程度までの候補に絞り、一番あう病院を考え選ぶのも一手かもしれません。



なお、背景に診療時間の短縮もあるかもしれません。

メンタルクリニックの初診も、昔は30分以上が常識でした。ところが今は15分程度の初診外来を求めるクリニックが増えております。

内科に行っても、昔は、血圧と体温を測られたものでしたが、今は熱があっても測らない医療機関もあるほど自由です。

診療報酬削減は続くはずですから経営を考え診療を縮小せざるをえない医師達が違う診断をする医療の質の低下も懸念しております。

こころとからだ相談クリニック

2019年5月-千駄木開設の心療内科・精神科・内科診療所(保険診療) 四月-オンライン相談開始 Founded in 2019, The Body and Mind Consultation Clinic in Sendagi offers psychosomatic medicine, psychiatry, and internal medicine services.

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